4.お茶のガン予防効果
お茶の生産地である、静岡県の安倍川流域と大井川流域に挟まれた一帯(本山茶、川根茶)や天竜川の上流地域(天竜茶)では、面白いことにガン死亡率が低くなっているという研究結果があります。たとえば、「川根茶」で有名な中川根町では、胃ガンの死亡率が全国平均に比べて約5分の1しかありません。死亡率の低い町の方がお茶をたくさん飲んでいることもわかっています。中川根町では1年に1人あたり全国平均の5倍から7倍にあたる3kgから7kgのお茶を飲んでいるのです。
緑茶のガン予防効果はアメリカでも注目され、テキサス大学のM・D・アンダーソンガンセンターでは、緑茶成分のガン予防効果を人で検証する実験が行われています。
ガンの発生過程
ガンはイニシエーションとプロモーションという過程を経て発生すると言われています。

イニシエーション
活性酸素などにより、正常な細胞のDNAが傷つくなどして変異すること。

プロモーション
変異した細胞がガン化し分裂増殖して集団をつくること。

人の身体はガン細胞にまったく無抵抗なわけではありません。ガン細胞は、常に身体の中でできたりなくなったりしています。血液中の白血球の、ガン細胞やウイルスを飲み込んで殺してしまう「貪食作用」などの働きで、イニシエーション段階のガン細胞はアポトーシス(細胞の自殺)を起こしたり、修復されているのです。
イニシエーション状態が修復されず、プロモーター(発ガン促進物質)の作用を受けてプロモーションが起きると細胞がガン化します。ガンを防ぐには、この二段階を抑制すればいいことになります。緑茶にはカテキンやビタミンC、食物繊維など、ガン予防に効果のある成分の宝庫です。
ガン発生の抑制
発ガン物質というと、何か特殊な物質のように思われますが、私たちのふだんの生活の中にも数多く潜んでいます。干し魚などに含まれる二級アミンとハムや漬物、野菜などにわずかですが含まれている亜硝酸ナトリウムを同時に食べると、体内でニトロソ化合物という発ガン性の強い物質になります。
緑茶カテキンには、このニトロソ化合物ができないようにする働きがあります(ビタミンCにも同様の効果があります)。マウスを使った実験では、お茶のエキスを与えないグループに比べて与えたグループの消化器系のガン発生率が、 2分の1以下と実に低くなったのです。
 カテキンには、胃ガンの原因ともいわれるピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)を除去する働きがあることも知られています。ピロリ菌は抗生物質を含む様々な薬を大量投与することで8割以上の除去効果が得られます。しかし、副作用の問題を避けて通ることはできません。
緑茶から抽出したカテキン、1日700gをピロリ菌の患者に投与した結果、半数以上の胃の中のピロリ菌の活性が衰え、約2割の胃の中からピロリ菌を除去することができたという研究結果があります。副作用はなかったといいます。
カテキン以外にもビタミンEの抗酸化作用によるガン抑制効果や、ビタミンAを摂取することで、ビタミンAが不足したときのガン発生率の増加を抑えられます。

このように、緑茶にはガンの発生を抑制する働きがあることがわかります。
では、すでに発生してしまったガンについてはどうなのでしょうか?
ガンの治療
ガンのやっかいな点のひとつは、異常な増殖の早さにあります。上述した「貪食作用」も追いつかなくなります。
人の胃ガン細胞に、緑茶から抽出したカテキンを添加すると、胃ガン細胞が小さくなる断片化がみられた、という研究結果があります。ガン細胞は死滅するわけではありません。しかし、断片化することで「貪食作用」で除去されてしまうのです。実験では、早いもので5,6時間ほど、平均して10時間でガン細胞の断片化が起こったそうです。胃ガンの予防を期待するなら、1日に10杯以上のお茶を飲むとよいとされます。
マウスを使った実験では、高濃度の緑茶を飲ませたグループほど、ガン細胞の増殖を抑えられたといいます。茶カテキンを与えなかったグループと比べて、与えたグループには、比率にして59.8%のガン細胞の抑制効果が認められたのです。

以上のように、様々な研究により、緑茶がイニシエーションとプロモーションのどちらにも抑制効果があることが認められつつあります。